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クラフト系メモ:ベドウィン族ヴィネット(その1)
以前の「JAM LOG : 映画鑑賞メモ:「アラビアのロレンス」」というエントリーで書いた、映画「アラビアのロレンス」に誘発されて発注していたVerlinden社製1/35 「Mounted Beduin」と同じくVerlinden社製のヤシの木セットが到着。

これはタミヤの流れを汲むWWIIもののミリタリーミニチュアとは趣が違い、時代背景は1916〜17年あたりの第一次世界大戦で、MMというよりはヒストリカルフィギュアでしょう。私はヨーロッパで人気の中世もののヒストリカルフィギュアは今のところあまり制作意欲がわきませんが、この頃くらいの時代であれば十分守備範囲です。
ヤシの葉は金属のエッチングパーツになっています。(↓)

レジンキットなので中身はこのようなガラクタっぽい感じです。当然、説明書などは付属しません。

レジン表面に付着した油分などを取り除くため、台所用中性洗剤を入れたバケツに暫く浸し、その後歯ブラシを使って表面をブラッシング。

瞬間接着剤で仮組。

接合部は結構隙間があります。これは後でパテで修正。

このキットのキモであるラクダはこのような感じです。プログラミング好きの方はPerl本とか思い出すかもしれません。スモーカーなら「Camel」でしょうね。

ベドウィン族の戦士フィギュア接写。非常にアラブくさい見た目です。

「アラビアのロレンス」と「ランボー最後の戦場」に見る共通点

私は「ランボー最後の戦場」を観た後にこの砂漠の民ベドウィン族が描かれている不朽の名作「アラビアのロレンス」を観たのですが、その後、ロレンスがアラブで行ったこととかベドウィン族との関係とか、実際のところはどうなのだろうかとか色々史実をディープに調べていました。
最初観終わったときには思いつかなかったのですが、「あぁ、この『アラビアのロレンス』は『ランボー最後の戦場』で描かれていることと同じかもしれない。」とはたと気がつきました。
同じ軍人という設定ながら、「繊細でいながら大胆」「内気なくせに派手好きで目立ちたがり」「ゲイ説あり」というミステリアスでクセのあるヒーローであるロレンスと、かたや「元グリーンベレー」「口数少なく、口より先に手が出る」派の完全無敵の武闘派+肉体派の最強戦士。この2人は一見全く異なるタイプのヒーローなのですが、「大国が軍事介入している発展途上の国に肩入れしている」という立場上の核になる部分でかなり共通しています。
また、2人とも「肩入れしている国に持ちつ持たれつ自分の居場所を見いだしているものの、自分の母国の人間であるというアイデンティティーは保っている(現地人になりきっていない、なりきれない)」という部分も似ています。
そしてここが一番大事なところなのですが、「軍事介入している母国の、文化的侵略、価値観の押し付けを否定したい考えを根底に強く持っている」ということです。どちらの映画も戦争がテーマであり、大国に軍事介入され、文化をメチャクチャにされてしまい、いつのまにかいつまでも戦争し続けることを強いられてしまった民族をテーマにしています。
「アラビアのロレンス」を観る前は「ロレンスはマッチョなヒーローなのかな?」と思っていたのですが、主人公があっさり拉致されて男にレイプされてしまうなんてあまり今時のハリウッド的マッチョなヒーロー像の典型である「ランボー」ような主人公ではありません。
ですが、その被軍事介入の国への想いと、結局は自分は軍事介入してる側の民族の人間なのだという負い目を持ちながら完全には自分が現地に受け入れられていない部分を持ちながら自分なりの答えを見いだしている部分で「ランボー」と非常に似ているのです。
「ランボー最後の戦場」で、ランボーが現地の困った人たちを助けようとやってきたボランティア団体に向かって「Go Home.(帰れ)」とただ一言言い続けますが、これがこの両方の映画の「答え」のような気がします。
「ランボー最後の戦場」で私が強烈に印象に残ったシーンが、そのボランティア団体の人たちが負傷した人たちの医療支援したりキリスト教の宣教をしたりするシーンの後にいきなりそれを吹き飛ばす殺戮が繰り広げられるシーンです。
結局、それら良い事も悪い事もも全て含めて「大国の文化/価値観の押し付け」なのだな、と。最初からその国にちょっかいなんぞ出してやってこなければよかったものを、自国の利益のために大義名分をつけて「大きなお世話」しにやってきて、現地の人間を巧みに煽動することによって結局元々持っていた文化を破壊してしまっているのです。
そういう「大国のおごり」と、「文化侵略に犯されてしまった現地人の悲劇」を描いているのがこの二つの映画の一番のポイントなのでは、と感じた今日この頃。
まぁ、そんなことを考えながら、砂漠という過酷な環境の中で定住の農耕民族である日本人とは全く正反対の価値観で生きている遊牧民の代表のような民族であるベドウィン族に想いを馳せながらこのヴィネットを作りたい、と思っている次第なのであります。私はなんとなく、「アラビアのロレンス」の真のヒーローはイギリスの軍人ロレンスではなく、自国への文化侵略に抵抗したベドウィン族じゃないかなと思っているのです。
JAM LOG : クラフト系メモ:ベドウィン族ヴィネット(その1)の続き。
もう一つVerlinenのBeduin with Camelのレジンキットを購入して追加。ヴィネットのレイアウトを考えてみる。
パターン1。Camel1の配置が悪く、全体像が見えないためイマイチ。

パターン2。なかなか良くなってきたが、2頭のラクダの視線が下のように変な方向に視点が行くようになってしまうので修正が必要。

頭部を入れ替えてみた。なかなかしっくり来たのでこれでいくことにする。

レイアウト考察。ポイントを鉛筆でマーキング。

ヤシの木を土台に取り付けて固定するため、ドリルで穴開け。ちなみに愛用している電気ドリルは充電式のBOSCH IXO。(詳細レビュー→ケータイWatch スタパトロニクス、aki's STOCKTAKING: 缶入り BOSCH IXO) ハンディで使い勝手がよく、家庭用としても重宝している。

ヤシの木もドリルで穴開け。ここにネジを通す。

土台の下からネジを通す。

取り付け完成。

ヤシの葉を取り付け。葉はエッチングパーツなので、幹にドリルで穴ぼこにしてそれに一個一個さしていく。

タイトルプレートを仮作成。作成に使用したソフトはMac OS XのOmni Graffle Pro。
書いてあるアラビア文字は「Beduin」をアラビア語で書いたもの。別にソフトはなんでもいいのだが、アラビア語は右から左へ向かって書かれるので、ソフトによっては英語など他の文字と混在する時挙動不審になったり文字化けするので注意が必要。愛用のegword Universal2では文字が変わってしまう現象が発生するので残念ながら使用出来ず。

プリント用紙はA-one株式会社のカラーインクジェットプリンタ用「SILVER FILM LABELS」を使用。

ここにもアラビア語の標識を作ってみる。とりあえず今はイメージをつかむのが目的なので、本格的には作り込まずあくまで「仮組み」程度で。ちなみに標識に書いてあるのはアラビア語で「Aqaba」(「アカバ」と読む。Aqaba - Wikipedia, the free encyclopedia)。これは映画「アラビアのロレンス」に出てきた、ロレンスたち率いるベドウィン族が攻撃をしかける場所の地名で、映画のキーのひとつとなるシーンに使われている。プリンタで紙に出力して切り取ってプラ版に貼付けて虫ピンで仮止め。

全体のイメージはこんな感じの方向性で。

コンセプトは「第一次世界大戦下の1916年、ドイツ軍に支援を受けるトルコ軍征圧の象徴であるアカバを臨む、広大な砂漠にたたずむ遊牧民ベドウィン族」。私の場合映画「アラビアのロレンス」で興味の対象になったのは主人公ロレンスではなく、西洋文化の侵略に抵抗する、この作品のテーマとなる、地球上のあらゆる場所のなかでもある意味生命の存続に関して究極と考えられる砂漠という地に住む遊牧民ベドウィン族である。
今回使用しているバーリンデン社のレジンキットである「ラクダに乗ったベドウィン」と「座るラクダとベドウィン」を二つ組み合わせたヴィネットはWeb上でも全然見つからないので、勝手に「世界で唯一」ということにしておく。ヤシの木も含め全部の使用キットがレジン製なのでコストが高い。今回のヴィネットは素材費だけで1万円を超えてしまった。

もともと「T.E.ロレンス」をテーマにしたものは多いがベドウィン族をテーマにしたヴィネット自体がほとんど無い。ヒストリカルフィギュアは西欧文化なので西欧側から見たヒーローである「ロレンス」に意識がいくのが自然の流れだと思われる。
がしかし、史実を調べてみるとアラビア側から見たら決して「白人ロレンスが征圧解放の最大のヒーロー」というわけではないようである。映画自体が世界中で大ヒットしてアカデミー賞を7部門もとったのも大きいが、史実を調べた上で、アラビア人でもなく白人でもない中立的な日本人としての視点から客観的に映画を何度かよく観てみるとロレンスってヒーローとしてはあまりカッコ良くない。「アカデミー賞」だって西洋文化だしね。戦争の歴史をひも解いていくと真のヒーローはローカル文化への文化的侵略に抵抗する名も無い人民だと思うのである。
・・・とまぁ、思考が飛躍しつつもとりあえずこんな感じで基本の「キャンバス」はほぼ完成。細かい部分をこれからコツコツ作り込み。